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□瞳の先には
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「ねえ、高杉君、あたしコンタクト落としたわ……」



「ああ?知ったこっちゃねぇよ」


屋上で寝転ぶ高杉君は、私に背を向け寝帰りをうった。



『それって酷くない?酷くない?あたしはせっせと貴方の為にお弁当作って来てあげるじゃない!?』


「……ああ?誰が作って来いって言った?俺ァ、テメェの弁当食ってあげて腹が苦しくて眠いんだよ。ウルセェな。メス豚はあっちに行け」

そう言い睨み付けられた。

どうせいいわよ。メス豚だって貴方が私の作ったお弁当を食べてくれるなら……

貴方とこうしていられるのなら……。



……覚えておきなさい。
高杉晋助。
私の愛情という名の呪いで何がなんでも貴方をおとして見せますから。
覚悟しておきなさい。





「……あ、わりぃコンタクトと踏んじまった……ククク」


『なにィィィ!?ってか、何笑ってんのよォォ!!』


無惨にもありえない方向に曲がり、埃まみれになった可哀想な私のコンタクトレンズちゃん。素敵なカーブを描いて、存分に太陽の光を浴び、干からびて転がっていた。




……うっ……涙が出そう……。


『……私、これからどうすればいいのですか?
どう授業受ければいいのですか?教えて下さい高杉さん』


「なぁに、サボればいいんだろ?」


『んわあい?』


「元から俺だって右目しか使ってねぇんだ。んなこたぁ、大した事ねェ」


そっか高杉君も右目だけか……。


なんだ

お揃いじゃん






……ぼんやりした景色

残念ながら貴方の綺麗な顔が存分に見られません。

……ねぇ、高杉君、貴方が見える景色は綺麗ですか?


貴方は毎日毎日空を仰いでますが何を見ていますか?

貴方の瞳の先には私がいますか?








「おい、メス豚!ゲーセン行くぞ」


『はい!行きます!!』



メス豚だって奴隷だっていいんだ。

貴方の瞳の先に私がいるなら。



『ねぇ、高杉君。片目だけって見えづらいね』



「慣れればどって事ねぇよ。見たくないものがモザイクかかって丁度いいんだ」


喉を鳴らして笑い、高杉君は私を見た。



『どういう意味ですか??』


「ククク…。そう言う意味だ」



高杉君はそう言い、立ち上がると、重たく鈍い音が鳴る屋上のドアを開けた。


『あ、待ってーー高杉君!!』







メス豚だって奴隷だってみんなみんな生きているんだ


幸せなんだ


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